松風塾高校では毎年5月下旬~6月上旬に、稲作実習を行っている。お米を収穫するまでには八十八の苦労があると言われているが、大和山本部営農課のご協力のもと、その一部を体験させてもらっている。
5月22日、ビニールハウスから育苗箱を運ぶ作業を行った。地面一面に敷かれている育苗箱を持ち上げ、軽トラックにどんどんのせていく。その後田んぼに運び、あぜみちに指定された枚数を置いていった。生徒はビニールハウス組と田んぼ組に分かれ、自分達の任務を果たしていた。どちらの作業もバケツリレーのように運ぶのだが、ビニールハウスでは持ち上げるとき、田んぼでは置くときが腰を使い一番大変なため、生徒間で交代しながら、負担を分散させていた。汗だくになりながらも、休憩しつつ一生懸命に取り組んだ。生徒が効率よく作業してくれたおかげで、午前中で育苗箱1200枚全部を運ぶことができた。
5月27日、この日は全校で田植え実習を行った。泥の中は動きづらく、はじめは長靴が抜けないため一歩進むだけでも時間がかかっていたが、若い生徒たちはすぐに慣れたようで、腰を下ろして苗を植え、一歩進んで苗を植え、とスムーズに植えていた。また、手に持っている苗が無くなったときはあぜにいる生徒から苗を受け取るのだが、田んぼの真ん中あたりにいる生徒には手渡しができないため、投げて渡す。しかし、コントロールがずれると、泥の上にバチャーンと落ちてそのあたりにいる生徒が泥だらけになる場面もある。それも田植えの面白さで、みんな楽しそうに笑っていた。最終的に田んぼ一面にきれいに植えることができた。
6月4日は育苗箱洗いをするため、体育館裏の川にたわしをもって集合した。当日の天気は快晴で、普段であれば暑くて授業に集中できないような気温だったが、川の岸に腰をかけての作業だったため、水が気持ちよく逆にちょうど良かった。今年使用した育苗箱は来年も使用するため、付着している泥をたわしで丁寧にこすっていく。箱の隅に汚れが残りやすいのだが、集中してこすってくれたおかげで、とてもきれいになった。洗った育苗箱は回収係が集めて軽トラックに乗せ、運搬係が倉庫まで運び、高く積み上げていった。この日も生徒たちの活躍のおかげで1200枚あっという間に洗うことができた。
3日間だけの体験ではあったが、皆一生懸命かつ楽しそうに作業をしていた。大きい作業を皆で役割分担してやり遂げる、という経験と自分たちが食べているお米が出来上がるまでの苦労を一部ではあるが体験できたことは、生徒たちの大きな財産となってくれたことと思う。
投稿日: 2025年6月29日